みなさんこんにちは、副住職の隆照です。
写真の通り、雲一つない青空のもと、今年最後の護摩のお勤めが開催されました。
年末の21日は「終い大師」とか「終い弘法」というのですが、一年の締めくくりを迎えるにあたって、冬の天気では珍しい最高の日になりました。
しかし、天気がいい日ほど朝の冷え込みがきつくなるもので、毎朝のお勤めが辛くなるのもキツイ時期ではあります。
そういえば、昔小学校で習った放射冷却というものは、私は夜の間に起こるものだと思っていましたが、お坊さんになってそれが間違えていたということに気が付きました。
だって、毎朝お堂に入る時より、お堂から出てくる時間の方が寒いんですもの。
放射冷却とは、太陽が昇り始めるときに空気の循環が起こるから冷え込む現象だそうで、詳しくはインターネットでお調べくださいw
そんな冷え込んだ朝でしたが、今日はホットな出来事も沢山。
その一つが、上記の写真に写っています。
嫁である久美が、お大師様の護摩に初参加です。
上の写真は、朝のお勤めをしてくれている風景をこっそり撮りました。
嫁いで来てくれて1か月と少し。
いろいろ不慣れなことばかりのなか、非常に頑張ってくれています。
私にはもったいないぐらいの嫁です。
さて、あんまり惚気ていると本人から怒られてしまうので、本題に。
本日は平日にもかかわらず、多くの方のお参りを賜り、迎える側としては嬉しい限り。
ストーブを焚いて、ホットカーペットを敷いて、それでも寒いお堂の中も、護摩の火が上がれば、暑いぐらいの熱気に包まれまして、皆一緒に般若心経をお唱えします。
嫁の久美さんも、まだ完全に覚えきるまではいってないものの、みんなと一緒ならば問題なく唱えれるようで、素直に覚えの速さに関心しております。
護摩が終われば住職の話なのですが、この日の話はちょっと地元話。
というのも、近所のお山の上にお大師様が祭られていた大師堂があったのですが、諸の事情でお参りする人がいなくなってしまい、放置されていた大師像をお寺で引き取ることになりました。
その折に、大師堂があった山の上は権現さんが祭られていたようで、どうせならばとお参りしてきたそうな。
権現さんとは、神様を仏教流に呼んだ呼び方です。
近畿では有名なのは、奈良の金峯山寺、蔵王大権現でしょうか。
住職が登った山の頂上には、大龍権現という神様がお祭りされていたそうです。
なんでも、そのお山の上からは千種川の流れ、そして有年の土地が全て一望できたそうです。
そして、川のうねり、というものは、よく龍に例えられて祭られたりします。
みなさんが一番耳にしたことあるのは、出雲地方のヤマタノオロチ神話ではないでしょうか。
あれも、良く氾濫を起こす暴れ川を、なんとか氾濫しないでくれ。と人々の願いが込められたお話しです。
それと同じように、山の頂上にお祭りされていた大龍権現さんは、千種川のことを現わしているのではないか?と住職には感じられたようで、非常に多大な恩恵を与えてくれる千種川に感謝表すと同時に、一度牙を剥きだした自然の力にはなすすべなく、流されていたでしょうから、どうか暴れないでくださいね、とお願いする場所であったのではないだろうか、ということでした。
これは、あくまでお坊さんとして感じたことでしたので、もしかしたら学者さんが言う事とは違うかもしれませんが、一つの感じ方として皆さんの興味に触れることができれば幸いです。
私たち人間は、自然の力の前では、どんなに頑張ったところでちっぽけですが、それを恐れて近寄らないという選択をするのではなく、恐れながらも、祈りを届け、願いを届け、どうか暴れださないで、恵みを分けてくださいと、お願いしながら付き合っていくことのできる生物です。
先人たちの、願いの場が垣間見えたこの度のお話しでしたが、大師堂のお大師様は光明寺に無事に、先日運び込まれました。
本坊二階の大広間にお祭りさせていただいております。
もし、お姿を一目見てみたいという方がいらっしゃいましたら、どうぞ気軽に声をかけてください。